テキーラの生産地と原産地呼称制度(DO)とはARTICLE

テキーラの生産地と原産地呼称制度(DO)とは

2025.04.11
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テキーラDO

目次

なぜ生産地と原産地表示が重要なのか

テキーラは、他のお酒と同じく”産地”が品質や味に大きく影響します。 しかもテキーラには、メキシコ政府と国際機関が定めた「原産地呼称制度(DO)」が存在し、特定の地域で生産されたものしか”テキーラ”と名乗れません

この制度は、フランスの「シャンパーニュ」や「ブルゴーニュワイン」と同じく、品質を守るためのものです。

テキーラ畑の風景
メキシコ・ハリスコ州のアガベ畑

テキーラの原産地呼称制度(DO)とは

正式名称はDenominación de Origen Tequila(テキーラの原産地呼称)で、1994年にメキシコ政府によって正式に定義されました。 以下のような条件をすべて満たすものだけが「テキーラ」と表示できます。

  • メキシコ政府が認めた5州の指定地域で生産されていること
  • ブルーアガベを主原料としていること(最低51%、100%アガベならすべて)
  • メキシコ公式規格NOMに準拠していること

さらに、この制度はWTO(世界貿易機関)でも保護されており、世界中で「テキーラ」のブランド価値が守られています。

ポイント:テキーラのDO制度は、ワインのフランスAOCやイタリアDOCGと同等の厳格な品質保証システムです。

DOに認定されたテキーラ生産5州一覧

DOとして認められた州は以下の5つ。これらの州の中でも、厳密な地域が対象となります。

州名特徴
ハリスコ州(Jalisco)テキーラ発祥地。約90%以上がここで生産されている
ナヤリ州(Nayarit)北西部の限定地域で生産が可能
グアナファト州(Guanajuato)中央高地に位置し、アガベの栽培が盛ん
ミチョアカン州(Michoacán)火山土壌と気候で独自の風味を生む
タマウリパス州(Tamaulipas)湿潤な気候。限定的な生産地域
テキーラ生産5州マップ
テキーラ生産が認められた5つの州(地図)

ハリスコ州が中心地とされる理由

テキーラといえば「ハリスコ州」。その中でも特に有名なのが以下の地域です:

  • ロス・バジェス地方(谷間):クラシックなスパイシー系テキーラが多い
  • ロス・アルトス地方(高地):甘みがあり華やかな風味が特徴

アガベの育成環境(標高・土壌・水)によって風味に明確な違いが出るため、ワインと同じように“テロワール”がテキーラにも存在します。

ロス・バジェス産

  • 火山性土壌
  • アースリーな味わい
  • パンチが効いている
  • スパイシーで力強い

ロス・アルトス産

  • 赤土・粘土質
  • 華やかな香り
  • フルーティーな印象
  • エレガントで柔らか

テキーラ村とテキーラの歴史的関係

ハリスコ州にある「テキーラ村(Villa de Tequila)」は、その名の通りテキーラのルーツとも言える町です。 この町には100年以上の歴史を持つ蒸留所が数多く存在し、現在でも稼働中のホセ・クエルボの工場や、テキーラ博物館があります。

なんと、町全体がユネスコの「世界遺産」にも登録されており、”テキーラの聖地”として世界中の観光客が訪れます。

テキーラ村の風景
世界遺産に登録されているテキーラ村の風景

NOM番号とDO表示の見分け方

本物のテキーラには、以下の2つがラベルに明記されています:

  • NOM番号(Norma Oficial Mexicana):蒸留所の登録番号(例:NOM 1123)
  • DO表示(Denominación de Origen):原産地表示(例:TEQUILA JALISCO, MEXICO)

これらが書かれていない製品は、テキーラ風リキュールや模造品の可能性があるため注意しましょう。

NOM番号とDO表示の例
テキーラボトルに記載されているNOM番号とDO表示の例

原産地表示があるテキーラの選び方

テキーラを選ぶ際に注目したいのは以下の点:

  • NOM番号を調べて信頼できる蒸留所か確認
  • ハリスコ州産(特にロス・アルトス or バジェス)のものを選ぶ
  • 100%アガベ表示と合わせて見ると安心

特に初心者には、「ドン・フリオ」「フォルタレサ」「クエルボ・トラディショナル」など、DO・NOM付きの有名ブランドが安心です。

ブランド名原産地NOM番号(一例)
オルメカハリスコ州NOM 1111
ドン・フリオハリスコ州・ロス・アルトスNOM 1449
フォルタレサハリスコ州・テキーラ村NOM 1493
パトロンハリスコ州・ロス・アルトスNOM 1492

個人的な感想:ハリスコ州産を飲んで感じた違い

私が初めてハリスコ州産の「ロス・アルトス地方」テキーラを飲んだとき、その甘みと香りの高さに驚きました。 フルーティーなアロマ、スムースな飲み口で、今までの”きついお酒”というイメージが一変。 それ以来、ボトルの裏面にあるNOM番号とDO表示をしっかり確認するようになりました。

同じテキーラでも、産地によってこんなに違うのかと感動したのを覚えています。特にロス・アルトス産のブランコは、まるで白ワインのような繊細さがありました。

まとめ:DOとNOMが証明する”本物のテキーラ”

  • テキーラは生産地と制度によって守られた”特別なお酒”
  • DO(原産地呼称制度)とNOM番号は品質の証明書
  • ハリスコ州のテキーラは世界的にも最高品質とされている

あなたが次にテキーラを選ぶとき、「どこで、誰が、どうやって作ったか」を知れば、より深く味わえる1杯になるはずです。

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